ETFの上場廃止リスクについて

(出展)Blackrockジャパンホームページ

ETFはインデックスファンドが上場したもので、市場で株式のように売り買いができます。上場している以上、上場廃止になる可能性があります。インデックスファンドにおける償還と同じですね。

上場廃止と言うと、一般企業においては、かつてのJALの様に破綻であった場合、株式が文字通り紙くずになりますし、そうでなくとも合併などでその会社が無くなるなど、あまりポジティブなイメージは無いのではないでしょうか。

さて、ETFが上場廃止となるとどうなるのでしょうか。結論から書くと「大きな問題は発生しない」のですが、それなりに都合の悪い事も起こるので、過去の自分の経験を紹介しつつ、説明したいと思います。

Blackrockが東証上場JDRを全廃

米国大手でBlackrock(ブラックロック)という運用会社があります。米国ETF業界ではVanguard(バンガード)と人気を二分しています。

このBlackrockはかつて東証にJDRという形式でETFをいくつか上場していました(JDRは実際のファンドを上場させる代わりに、米国のファンドを担保として預託証券化する手法)。

僕は信託報酬の安さ、米国ETFの規模の大きさなどをメリットと捉え、このJDRをいつくか利用していたのですが、ある日、Blackrockから、これらJDRを全て廃止するというアナウンスがありました。

Blackrockからの発表

2017年9月28日、Blackrockが東証上場のJDRをすべて廃止する事を発表しました。上場廃止は2018年1月24日という事でした。関係の無い人には「ふーん」という事で終わりかと思いますが、BlackrockのJDRを多用していた僕には一大事でした。(発表を聞いた時には、正直「何してくれてんの〜」って感じでした)

詳細を読むと異議申し立て期間があるそうですが、その時色々と巷の情報を探ってみるとあくまで形式的なもので、個人が異議申し立てをしても上場廃止の方向に変化は無い、という事です。

上場廃止で困った点

当時、困った点が3つありました。

  • かなりの額の含み益があり、利益確定すると結構な額の税金支払いが発生する
  • NISA枠を利用して投資したばかりの分があり、売却するとNISA枠の残期間を無駄にすることになる
  • もともと流動性の高くないETFを大量に売買すること自体かなりしんどく、当然売買コストも発生することになる

保有していたJDRの総額で含み益が200万円超あったので、売却すると50万円くらい税金で持っていかれます。税金はもちろんいつか支払わなくてはいけないのですが、なるべく資産を大きくしてからでないと投資効率が落ちてしまいます。

NISAは、入れたばかりの分があり、4年分くらい枠を無駄にすることになります。もちろんその先も含み益が増加しつつ5年が経過したらの話ですが。。。。。

代わりのETFが上場する

同時にBlackrockから新規ETFの上場のアナウンスがありました。

  • 旧:iシェアーズ先進国ETF-JDR ⇒ 新:iシェアーズコアMSCI先進国ETF
  • 旧:iシェアーズ新興国ETF-JDR ⇒ 新:iシェアーズコアMSCI新興国ETF

などなど。

Blackrockの発表によると、理由は「⽇本におけるETFの商品戦略をより効果的なものとするため」でしたが、JDR形式より直接上場の方が税金面など有利になるという事でした。

上場廃止実際の流れ

そうしているうちに、ブラックロックETF-JDRの上場廃止に対する異議申し立ての申請書類が届きました。送付元は当ETF-JDRの受託者である三菱UFJ信託銀行からです。

異議申し立て申請書

下記は、僕が受け取った実際の異議申立書の写真です。

Blackrockからの異議申立書

議決権行使の書類を受け取った事がある人ならわかるかと思いますが、あれと同じ感じです。

上場廃止スケジュール

以下が書類に案内のあった上場廃止スケジュールでした。

  1. 受益者権利確定日:   平成29年10月12日
  2. 異議申立書類発送:   平成29年11月17日
  3. 異議申立期限:     平成29年12月19日
  4. 異議申立結果開示:   平成29年12月20日
  5. 取得請求期間:     平成29年12月20日~平成30年1月8日
  6. 信託終了日:      平成30年1月24日
  7. 残余財産給付開始日:  平成30年3月5日

それぞれの意味です。

  1. この日付以前に市場で売却した人は手続きの権利がありません。
  2. 発送されて受け取ったのが、上記の書類です。
  3. この期限までに異議申し立てができます(無駄らしいのでしませんでした)。
  4. 異議申し立ての結果が開票されます(口数ベースで全体の異議が1/2を越えない場合上場廃止決定)。
  5. この期間に請求すれば三菱UFJ信託銀行がETFを買い取ってくれます。但し、異議申し立てをした人に限る。
  6. このタイミングで上場廃止。2018年1月19日が最終売買日なので、これを過ぎると市場で売却ができなくなります。
  7. 市場で売却しなかった人に対して、ETFを精算して金銭で払い戻しをします。

書面を見ていると要するに2018年1月19日までに市場で売却をするのが一番通常の手段である事が伺える内容になっていました。

選択可能なオプション

当時、僕が選択できたオプションは4つありました。それぞれの手段、メリット、デメリットをまとめます。

① 2018年1月19日までに市場で売却

  • 普通に市場で売却するという事です。
  • 含み益があるので税金が発生します。
  • 他は一切の手続きが不要ですが、入れ替え費用が結構掛かります。

② 取得請求を実施して、三菱UFJ信託銀行に買い取ってもらう

  • 書類を使って異議申立を行う必要があります。
  • 取得代金の受け取りに三菱UFJ信託銀行に口座を開く必要があるかも知れません。
  • 含み益があるので税金が発生します。
  • 特定口座の損益通算ができないそうで、確定申告が必要です。
  • NISA口座に保管していた場合に譲渡益に対するNISAの適用を受ける事ができず確定申告が必要です。

③ 放置して2018年3月5日からの残余財産給付を待つ

  • 異議申立は不要です。
  • 給付金の受け取りに三菱UFJ信託銀行に口座を開く必要があるかも知れません。
  • 含み益があるので税金が発生します。
  • 特定口座の損益通算ができないそうで、確定申告が必要です。
  • NISA口座に保管していた場合に譲渡益に対するNISAの適用を受ける事ができず確定申告が必要です。
  • 上場廃止から3月以降支払いがされるまで資金が拘束されます。

④ 米国ETFへの転換

案内に記載はありませんでしたが、SBI証券では当該ETF-JDRに対して、米国ETFへの転換サービスがあります。例えば、国内ETFのIS先進国ETF-JDR(1581)を米国ETFであるiShares MSCI KOKUSAI((TOK)に転換してくれるという事です。僕はSBI証券を使っていたので、このオプションも選択可能でした。

  • 転換の手続きが必要です(手数料がかかります)。
  • 含み益があるので税金が発生します。
  • 転換後は海外ETFを保有する事になります。

結局全て市場で売却

売却益を出さずに入れ替えができないかという事で色々と調べまくりました。その点では④のオプションに期待したのですが、結局、米国ETFへの転換による譲渡益という形で利益確定があり、市場で売却&改めて米国ETFを購入すると変わりがありませんでした (T_T)。

②③④に関しては、市場で売り買いが必要なく一括でできる事がメリットでした。ただ、②③については損益通算ができず、別途確定申告が必要という事で、特定口座にしている意味が無いと感じました。

さらに、②③は、NISA口座にあった場合NISA適用がされない、という事です。説明書には別途確定申告が必要です、という記載がありましたが、これが確定申告すればNISA扱いになるのか、そもそもNISAは無効で普通の損益通算は可能です、という意味か判然としませんでした(おそらく後者と判断しました)。

不確定要素もあり、複雑になるので②③は真っ先に消えました。④は一括で転換可能という点では少し魅力を感じましたが、転換後米国ETFを大量に持つ事になり、気が進みませんでした。

と、いう事で結局市場で普通に売却を実施し、利益確定、税金の支払い(特定口座による源泉徴収)となりました。少し工夫をした所は、案内が2017年に来たので、2017年中に売却してしまう事も出来たのですが、これをしばらくまって2018年になってから売却しました。

狙いとしては、売却後、取得し直したETFで含み損が出た時に損益通算ができる為、年初に売却した方が一年間のチャンスがあると思ったのです。結局2018年は市場全体が下落の年となりましたので、ある程度は損益通算して、税金を取り戻しました。もし、2017年中に売却していたら、2017年後半は市場が好調だったので、税金はそのまま、と言う事になっていました。

さて、税金を取り返したと言っても、全体としては資産が減った話ですから、あまり喜ばしい事ではありませんが、長期投資を前提にしている僕としては、2018年のように下落の年があるのは想定済みです。一方、意図しないタイミングで高額な税金を支払うのはあまり嬉しい事でありませんから、今となっては不幸中の幸いくらいに感じています。

以上の通り、ETFには上場廃止のリスクがあります。紹介した例のようにJDRなど特殊なETFは避ける、運用期間が短いものは避ける、資産規模が小さいものは避ける、など基本的な所に注意をする事で確率を下げる事ができると思われます。

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