国内ETFの弱点 〜 流動性の問題

ETFの流動性は理解しておく必要があります

僕は資産運用に国内ETFを選好していますが、理由としては信託報酬が安い事とインカムゲインを中心としたリタイアメントプランを想定しているので、分配金(配当)が必要な為です。さらに、国内ETFであれば全て円換算だし、株式の様に市場でリアルタイム売買ができるので、資金管理も簡単で、何しろわかり易い所が気に入っています。

ただ、唯一の弱点として流動性の低さには毎度苦労させられます。今でこそポートフォリオが完成形に近づいてきましたから、それほど問題にはなりませんが、ここまで資産を国内ETFで積み上げるのはそれなり大変でした。

流動性とは?

市場で株式などの有価証券を売買するには流動性という問題が付きまといます。流動性とは何かと言うと、その取引対象がどの程度活発に売買されているか、買ったり、売ったりするのがどれくらい簡単か、という事です。

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上記は日本を代表する会社であるトヨタ自動車(7203)と僕が持っているMSCIコクサイ連動のETFであるiシェアーズMSCI先進国株(1657)の気配値(いわゆる板情報)を並べて比較したものです。

それぞれ、真ん中にあるのが売買価格で、両サイドにあるのが売り買いそれぞれいくつ(数量)注文が出ているか、を表しています。トヨタ自動車の例で言うと、6,817円で13,300株売り注文が出ていて、6,812円で700株の買い注文が出ている、と読みます。

取引時間(ザラ場と言います)では、この気配値が目まぐるしく変化して売買が行われています。デイトレーダーの人はこの気配値や超短期(分単位)のチャートをリアルタイムで見ながら、売り買いを繰り返し、その差益で儲ける訳です(僕はやりませんが)。

さて、この二つの板情報を見た場合に、MSCI先進国の方が注文が閑散としているのがわかると思います。一部4000株以上の注文が出ている所もありますが、他は小さい数字が並んでいるかと思います。

また、売買代金の表示がありますが、これは1日(上記のケースだと4/16)の売買総額がどの位であったかを表しています。トヨタ自動車は約236億円ですが、MSCI先進国株は約568万円で、もの凄く違う事がわかるかと思います。この分だけMSCI先進国株は、売買がしづらく、つまり流動性が低いという事になります。希望する価格と数量が十分に市場に無いかもしれない状態です。

流動性の低さが引き起こす問題

国内ETFの流動性が低い事はわかったと思いますが、流動性が低いと何が問題かと言うと、自分が思った通りの価格で買えない、或いは売れない、という事が起こりがちになります。なぜかというと市場参加者が少なく、売買がそれ程多くない為に、タイミングによっては売り手が少なかったり、買い手が少なかったりして適正な値段がつかない(値段に隙間が多くなってしまう)事が起こる為です。

例えば、数十万円くらいの小額投資であればそれほど神経質になる必要もありませんが、1000万円くらいの大きい投資になる場合、非常に問題です。例えば、上記のMSCI先進国の1日の売買代金は約586万円ですから、1000万円も買ったら何も意識しないと自分で値段を釣り上げてしまいます。

ETFを活用している理由は、その信託報酬の安さもありますが、アクティブファンドのような高い購入代金(例えば3%とか)を支払わない事もあります。それが、自分が大きい注文を出した為に3%くらい割高で買ってしまえば、意味がなくなってしまいます。

対策としては、基本指値(価格を指定する事)で売買を行う事になります。ただし、究極的には買い付けをしないと運用が始まりませんので、多少の値段差ならば購入を優先します。そうなるとザラ場で気配値を見ながら、大きく乖離しない所へ注文を出していく事になりますが、なかなか神経を使う作業です。

一方、上記のトヨタ自動車で一千万円くらい購入したい場合は、成行注文でもまず問題ありません。ほぼ中央の取引値で成立すると思われます。

マーケットメイク制度について

この流動性の問題はETFの普及を妨げますので、日本取引所グループでは国内ETFに対して、マーケットメイク制度、というものを導入しています。

マーケットメイク制度について(日本取引所グループホームページ)

マーケットメイク制度は、マーケットメーカーと呼ばれる指定業者がETFの流動性を提供する制度で、マーケットメーカーの存在のおかげで僕達一般投資家が適正な価格でETFを購入できる事を目的としています。

マーケットメーカーは、証券会社やマーケットメイク専業のトレーディングカンパニーという事ですが、気配値の提示によるインセティブ報酬や、ETFの市場価格と理論価格(ベースとなるファンドの価格)の差益を得る事(裁定取引と言います)が収入の様です。

はっきり言って僕も仕組みはよくわかりませんが、流動性が低すぎて購入ができないなどの事態は防いでくれている様です。以前の経験ですが、新興国株式のETFを購入しようとして板情報を見たら、僕が希望するような売買単位の気配値自体が存在していませんでした。所がとりあえず指値で買い注文を入れてみると一瞬で約定しました。マーケットメーカーの存在を感じた瞬間です(僕がカモの様な価格で指値していたのかもしれませんが)。

と、言っても成り行きで乱暴に買ってしまうと不当な価格がついてしまう可能性も否定できませんので、マーケットメイク制度があっても、指値+板情報をみながらの売買をお勧めします。

終わりに

そもそもこの問題にぶち当たったのは、2018年初頭に発生したBlackRockのETF(JDR)シリーズの上場廃止にありました。このせいで僕は一千万円以上のETFの入れ替えをする羽目になった訳です。その時はBlackRock多少恨みましたが、またBlackRockのETFを利用していたりします。一度起きたので、しばらく起きないかな?みたいな逆説的な発想です。

(関連記事)ETFの上場廃止リスクについて

因みに米国ではETFが超メジャーですから、流動性の問題はそれほど大きくありません。日本でも政府はETFを購入している見たいですから、これからどんどんメジャーになって売買で神経を使う様な事がなくなると良いと思います。

国内ETFは、まだまだ発展途上ですから、上にも記載した通り、これからETFでポートフォリオを構成しようと考えている方は無邪気に成行で売買すると想定外の価格で約定されるかも知れませんので、注意する事をお勧めします。

或いは、ETFではなくインデックスファンドを利用する事でこの問題からは解放されます。インデックスファンドは購入・売却ともに申し込みをした以降最新の基準日の終値で売買されますので、タイミングや市場参加者の影響を受けません。

一方、売買を申し込んでから実際に口座に反映されるに時間がかかったり、いつの基準価額(株価の様なもの)で売買されたのか、よく見えない所があって、僕としてはあまり好みではありません。それぞれ、目的と使い勝手によって分けても良いかと思います。

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