外国税額控除制度の改正でETFの分配金はどう変わったか

2020年1月から外国税額控除の仕組みが変わりました
(三菱UFJ国際投信資料表紙)

証券会社や各種金融機関から地味にアナウンスされていた「外国税額控除の制度改正」ですが、2020年1月から施行されています。実際、我々がする事は何もなくて自動的に変わっているのですが、期待と若干違った所もありましたのでまとめておきます。

ポイントとしては、以下の3点となります。

  • 外国資産へ投資する国内ETFについては分配金に対する税金面で有利になった
  • 直接海外ETFを保有している場合は従来通りで恩恵無し
  • 外国資産対象の国内ETFをNISA口座で保管するのは再考が必要

前がどうで、今がどうなったか

僕が参照した「三菱UFJ国際投信」の本件に対する資料でわかり易い図があったので以下に転記します。

改正前後の違い
(三菱UFJ国際投信資料から抜粋)

これまでですが、例えば米国株式を組み込んでいるETFがあるとして、米国株式から配当が発生すると米国現地で10%の税金が引かれてから国内ETFの資産に組み込まれます。その後、国内ETFが分配金を出す時に、そこから20.315%(90%になった配当に対して)が課税されます。

よって、上記の計算の通り、元々発生した配当から見ると71.8%まで減額されたものがETFの分配金として、我々の手元に支払われます。これは明らかな二重課税なので従来から課題とはなっていましたが、外国税額を取り返す手段としては確定申告しかありませんでした(逆に言えば確定申告すれば戻る)。

今回(2020年1月施行)の改正で、この外国で課題された分を国内の税金から自動的に控除してくれる様になりました。わかり易く言うと、海外で引かれる分はそのままだけど、国内でかかる税金をその分自動的に減らします、という事になります。

この場合、日本国の税務署としては税金収入が減る方向となります。しかも自動で処理してくれるなど、珍しく素敵な事をしてくれるもんだと思ったものです。日本籍のETF購入にインセンティブを与える為でしょうか。。。。

実際の例を見てみると

海外資産に投資する国内ETFといえば、僕のポートフォリオの中では「NEXT FUNDS先進国リート(2515)」があります。実際、分配金に対してどう税金がどうなったかの実例です。

NEXTFUNDS外国リート の分配金
(SBI証券の明細、特定口座)

上記は2515から分配金が支払われた時の明細です。配当金額が45,300円に対して受け取り金額が40,147円となっており、税金で引かれた分は5,153円(11.38%の税率)となります。三菱UFJ国際投信の資料と若干合いませんが、これは対象の海外資産は国によって現地での税額が違う為、と理解しています。

2515は米国リートの比率が7割くらいありますが、残りは別の国が組み込まれているので、ぴったりとはならないと理解しています。もしSP500などの対象ETFであればちょうどの計算になると思われます。

それででもこの2515は従来20.315%の税金が引かれていましたので、それで計算すると受け取り金額は36,097円となります。40,147円と比べるとだいぶ少なく感じるのでは無いでしょうか。これが勝手に改正されてしかも自動で処理してくれるなど、まれに見る素敵な事で、特に分配金生活を目指している僕としては非常に嬉しい改正となりました。

いくつか注意点

先に事例をあげた通り、外国資産に投資する国内ETFを特定口座で持っている場合には単純に分配金が増えるのでハッピーです。何も考えずに喜びを噛み締めていれば良いです。

ただ、以下の2点については注意が必要です。

海外ETFは従来通り(恩恵無し)

この点は、僕が勘違いしていたのですが、海外ETF(VTとかSPYとか)も同じ様に自動的に控除してくれるのかとおもってましたが、それはなかった様です。しつこいですが「海外資産に投資する国内ETF」に限る恩恵となります。

S&P500高配当株式ETF(SPYD)の分配金
(SBI証券の明細、特定口座)

上記は最近支払いがされたSPDR S&P500高配当株式ETF(SPYD)の分配金明細です。配当金額が482.56ドルに対して、受け取り金額が347.84ドルですから、72.08%まで減額されていて、米国での源泉徴収10%の後、国内の課税(20.315%)とぼぼ一致します。

ここでもぴったりとはなりませんが、米国源泉徴収はドルベース、その後円貨に計算しなおしてから国内課税という手順のようなので、そのタイミングで為替レートが変化してしまう為なのかな、と考えています。大きくは違わないのであまり気にはしていませんが。

いずれにせよ、制度改正による外国税額控除はされていませんので、従前通りです。よって、制度改正をあてにして海外ETFを購入する事を考えている人は、そうならない、という事を理解しておく事が必要です。

また、悩ましいのは、同じ外国資産に投資する場合、国内ETFを利用した方が有利になるという点です(確定申告しない前提です)。特に分配金を重視する僕としては見過ごせないポイントなのですが、国内ETFではSPYDの様な米国株式の高配当ETFがありませんので、代替がきくものが無い、というのが現状です。

該当する国内ETFをNISAで持つ場合は注意

もう一つ注意というか、気になる点としては、こういった海外資産に投資する国内ETFをNISA口座で保有する場合です。

僕はNEXT FUNDS先進国リート(2515)を一般NISA口座でも保有しているのですが、狙いは当然分配金が多いETFをNISAに置いて、よりキャッシュフローを増やそう、という事です。

NEXTFUNDS外国リート の分配金
(SBI証券の明細、一般NISA口座)

上記は同じく2515のNISA口座における分配金の明細です。NISA口座なので当然税金はかかっていませんが、従来であれば国内課税の20.315%が全て非課税になっていたものが、2515の例で言えば11.38%が非課税となります。つまり非課税になっている割合が減った事になります。

もちろん制度改正前後で受け取る分配金の額は変わりませんので損得で言えばニュートラルですが、NISA口座は本来2割くらい取られる税金を非課税にする事が目的なので、NISAをフルで活かせていない、という考え方もできます。

こうなってくると海外資産に投資する国内ETFをNISAに置くより、国内資産に投資する国内ETF(僕の場合であれば国内リート ETFなど)を置く方がより身入りが増える、という計算もできます。

この辺りは個人の考え方もありますので、一概にどちらが良いとも言えませんが、僕としては今後は国内資産に投資する国内ETFをNISAに置く様に変更を考えています(と、言っても年に一度の入れ替え時なのでなかなかぱっと入れ替えはききませんが)。

最後に、今回ETFに絞って書いているいますが、投資信託については詳細定かでありません。分配金を出す投資信託については同様かと思いますが、分配金を出さない投資信託についてはどういった影響があるか確認できていません。

理屈で言えば、配当がでた時点でファンドに組み込まれ、その後の区別はないので、売却時の利益が配当を原資としていてもキャピタルゲイン扱いで控除はされないのでは無いでしょうか。

そういった意味で、今回の改正は分配金を出すタイプの投資信託(ETF含む)にのみメリットがあると言えるかも知れません。

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